今回は緊急地震速報と災害伝言掲示板についてのお話になります。まず格安SIM(MVNO)でも緊急地震速報は受信できるのかということの結論ですが、スマホ端末が対応していれば格安SIMでも緊急地震速報は受信可能です。つまり格安SIMかどうかではなく、スマホ端末次第です。
緊急速報には、「緊急地震速報」、「J-ALERT(全国瞬時警報システム)」などがあり、これらの通知がスマホなどの携帯端末に届き警告をする仕組みです。
気象庁の緊急地震速報は一般的でテレビなどいろいろなところでも使われています。J-ALERT(全国瞬時警報システム)は内閣官房・気象庁から消防庁を経由して国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステムであり、緊急地震速報に加え、津波警報、弾道ミサイル情報等を伝えてくれます。
ドコモ、au、ソフトバンクからの緊急速報であるエリアメール、緊急速報メールでは、緊急地震速報と、J-ALERTが採用されているようです。ほとんどの格安SIM(MVNO)はドコモのMVNOですが、ドコモの「エリアメール」を配信するための仕組みは、ETWS(Earthquake Tsunami Warning System)という世界標準規格が定められている仕組みを利用して伝達されます。
ETWSは電波が届く端末すべてに対して一方的にデータを送りつける仕組みで、他のデータよりも最優先で処理されます。格安スマホで考えた場合、ETWSの仕組みではMNO(ドコモ・au・ソフトバンクのキャリア)か、MVNO(格安SIMの会社)かを判別しないため、ETWSの情報は格安SIMでも受け取れるということになります。
そのため、あとはETWS情報(緊急速報の情報)を受け取るスマホ端末の処理次第ということになり、スマホがETWSを受信した時に緊急速報として処理するように対応していれば警告が出ますし、対応していなければ警告は出ないということになります。また警告音を出すのか、メッセージを出すのかなどの仕様はこれもまたスマホ端末次第、つまりスマホメーカーの対応次第です。
端末ごとに異なる緊急速報の警告
国内で販売されているドコモ・au・ソフトバンクの携帯では通常は緊急速報は表示されるようになっています。そのためドコモ制スマホで格安SIMを利用している場合、緊急速報は通知されます。
iPhoneでも、iPhone5S以降のモデルでは、設定をしていれば緊急地震速報を受信できます。設定の方法は、「設定」>「通知」をタップし、一番下までスクロールし、「緊急速報」のスライダをONにすれば受信が可能です。図のように緑色にチェックされていればONの状態です。
Appleサイトからも確認できます。Apple iPhoneの緊急速報設定方法 :https://support.apple.com/ja-jp/HT202346
Android端末については、先程の国内販売のもの以外で、その他メーカー製のSIMフリースマホではETWS情報に対応していないことがほとんどのようです。つまりSIMフリーの海外メーカー製Andoridスマホでは、緊急速報はほぼ受信できないと考えた方がよさそうです。
日本のように高度な地震計測により瞬時に通知するシステムを持っている国は他にはないようで、これは致し方ないのかもしれません。後述するアプリをインストールして、アプリのプッシュ通知による警告がされるようにしておくことをおすすめします。
災害時の格安SIM利用者の連絡手段は「Web171」もしくは「Googleパーソンファインダー」が有力
災害時にはあらゆる人々が一気に電話やメール等の通信をするため、電話や通信が繋がりにくくなります。
例えば正月・年明けなどはあけおめメールで回線がパンク状態になったり、花火大会などで混雑している場所だと電話がつながりにくくなるなどの経験は皆さんもあると思います。普段は利用が集中する時間帯があるとはいえそれは想定内の負荷となりますが、その地域のほぼ全員が一斉に電話をかける、メール・LINEなどをするということは通常はなく、災害時はその地域で一気に通信が交錯するためシステムに負荷がかかり回線はパンク状態になります。
そのため災害時直後は緊急の連絡以外、必要以上に電話をかけるということは極力控えるべきです。これはLINEなどのアプリで通話することも負荷が増えるため、必要以上の利用は控えた方がよいと言えます。メールやLINEで連絡がつく人にはテキストメッセージにより安否のやりとりをするのがよいでしょう。
そして災害時に格安SIMユーザーが利用するとよいのが「Web171」という災害伝言板です。「Web171」(災害伝言板)はNTT東西が提供しており、ドコモ・au・ソフトバンクの各キャリアが用意している「災害用伝言板」の情報も相互に検索できるようになっているため、4つの掲示板それぞれで登録した情報は相互に確認ができるようになっています。
Web171の利用方法は「電話番号」が軸となる
「Web171」は171に電話して登録・確認を行う災害伝言掲示板のWeb版です。そのため、こちらでも電話番号を基準として利用を行い、「被災した方の電話番号」を軸に登録・確認を行います。
▼Web171 登録方法
- Web171 https://www.web171.jp/ へアクセスする
- 利用規約に同意
- 伝言を登録する「電話番号」を入力
- 登録者・メッセージの入力
- 伝言の登録
▼Web171 確認方法
- Web171 https://www.web171.jp/ へアクセスする
- 利用規約に同意
- 伝言を確認したい「電話番号」を入力
- 伝言の確認
- 返信の伝言の登録


伝言を登録する場合に登録を知らせたい人に通知を送ることや、確認をするときにメッセージが登録されたら自分に通知が届くようにするなどのこともできます。
「Googleパーソンファインダー」は氏名での登録・確認ができる
Googleパーソンファインダーは、Googleが提供する災害時の安否確認システムです。探す場合には名前、名前の一部、または携帯電話番号から検索が可能です。データ専用SIMのみの利用をしていて電話番号を持っていない方などはこちらを利用すればよいかと思います。

Googleパーソンファインダー: https://www.google.org/personfinder/japan
「J-anpi」はWeb171とGoogleパーソンファインダーの両方を検索できる
NTTレゾナントが提供するJ-anpi http://anpi.jp/ はWeb171の情報とGoogleパーソンファインダー、その他に企業や自治体の提供する情報をまとめて検索できます。こちらを利用するのもひとつの手です。
Yahoo!防災速報アプリのインストールがおすすめ
先ほどキャリアが提供していないSIMフリーのAndroidスマホなどは緊急速報の警告表示に対応していないことが多いと述べましたが、その代わりとしてアプリの利用をおすすめします。特にヤフージャパンが提供する「Yahoo!防災速報」は非常におすすめです。
iPhone版とAndroid版があり、スマホで利用が可能です。このアプリで便利なのが、地域の設定や、地震情報は震度●以上なら通知をするなどの細かい設定ができることです。豪雨予報も「●mm/h以上」で通知するなどの設定ができ、例えば山間部など豪雨による土砂崩れを心配する地域の人でなくても、夏などには豪雨予報で30〜1時間前くらいにはスコールが来そうかどうか判断できるため、突然のスコールを回避したりすることも可能です。豪雨の予報は難しいため予報があっても外れて全然降らないということもありますが、かなりの確率で的中するため便利で重宝します。
もしもの時のために事前にWeb171の存在を家族に周知させておきたい
緊急地震速報が届くということは地震が起こるということなので、本来は届かないことが一番よいのですが、万が一のことを考え、事前に確認しておくことは必要であると思います。
これを機会に、家族や友人にWeb171の存在や使い方を知らせてみてはいかがでしょうか。