格安SIMでは音声通話の料金が高くなる
キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)から格安SIMへの乗り替えでネックとなる部分のひとつに音声通話があります。格安SIMのプランには通話かけ放題のプランがないため、通話をよくする人の場合は格安SIMにすることで逆に料金が高くなってしまうこともあります。
今回は格安SIMとキャリアの音声通話の違いや、LINEなどのアプリによる無料通話についてお伝えします。
音声通話回線とパケット通信回線の違いを知る
携帯の通信ではひと昔前は3G回線が主流で、3G回線には音声通話回線とパケット通信回線の2種類にわかれた回線があります。現在はこれに加えて、より高速なパケット通信回線であるLTE回線(4G)があります。音声通話回線は通話をするときに利用する回線であり、パケット通信回線はインターネットなどに接続するときのデータ通信回線のことを指しています。
音声通話回線とパケット通信回線は別々の料金を取られています。音声通話回線の料金としては最近はドコモのカケホーダイプランなど国内通話が2,700円でかけ放題になる料金プランや、30秒毎に20円ずつ通話料がかかるプランなどがあります。対してパケット通信回線の料金は、2GB・5GB・10GBでいくらといったデータ通信容量に応じたパック売りが主流になっています。
パケット通信では速度が速いLTEを優先的につなぐよう電波を探して、つながらない場合は3G回線でパケット通信をする方法が主です。LTE回線はパケット通信を行う回線ですが、最近はLTE回線に音声通話を載せるVoLTE(ボルテ)という方式が出てきており、最新のスマホでは対応しているものもあり、キャリア側も対応をはじめています。現在の音声通話の主流は3Gの音声通話回線ですが、音声品質が今までよりもよいVoLTEが今後は主流になる可能性が高いと言えます。
パケット通信(インターネット)を使った音声通話
LINEアプリの無料通話機能やIP電話はインターネット、つまりパケット通信回線を利用して通話を行う方式(VoIPといいます)であるため、無料ではあるもののインターネットのパケット料金が実際はかかります。ただこのパケットも少量であり、さらにWifiにつないでいればこの料金が携帯料金としてはかからないということになります。
キャリアでの通話がかけ放題となるプラン
家族同士・友達同士で長時間電話をするのが習慣になっているという場合は、キャリアを選択すべきであり、通話かけ放題プランや家族通話が無料になるプランを選ぶべきです。
キャリアの通話かけ放題になるプランのよいところは、クリアで高品質な音声通話が定額でできるところにあります。ただし常に使うわけではない人にとっては高額なプランになってしまうところがデメリットでもあります。
通常、スマホで利用するキャリアのかけ放題プランは以下の料金になっています。
国内通話かけ放題 | 5分以内の国内通話かけ放題 | |
ドコモ | カケホーダイプラン 2,700円 |
カケホーダイライトプラン 1,700円 |
au | 電話カケ放題プラン 2,700円 |
電話カケ放題プランS 1,700円 |
ソフトバンク | 通話し放題プラン 2,700円 |
通話し放題ライトプラン 1,700円 |
各キャリア毎に名称は違えど完全に横並びで、2年縛りのプランを選ぶと「国内通話かけ放題」になるプランは2,700円(2年縛り無しだと4,200円)、「5分以内の国内通話かけ放題」になるプランは1,700円(2年縛り無しだと3,200円)となります。
ちなみにキャリアでかけ放題プランを利用せず、普通に通話する場合は料金は30秒/20円となり、格安SIMもキャリアも料金が同じです。音声品質についても、音声通話回線については格安SIMもキャリアと同じ設備を使うため音声品質についての違いはなく、格安SIMだから音声通話が聞き取りにくいということはありません。
キャリアでは最近、iPhoneのプランなどは基本的に、かけ放題プラン(制限なく国内通話無料)、もしくはカケホーダイライトプラン(5分以内の通話なら国内通話無料)のどちらかへ加入するのが通常になってきており、加入しているケースが多いと思います。
格安SIMでは基本的に通話のかけ放題プランがないため、音声通話が多い場合は割高になります。一部、楽天モバイルの5分かけ放題オプションなど、1回5分までの制限があるカケホーダイライトなどに相当するプランが出てきていますが、音声品質の安定した無制限のかけ放題プランは実質、存在しません。家族同士ならば通話料が無料、同じキャリア同士なら時間帯によって通話料が無料というキャリア独自の音声通話が無料になるサービスも格安SIMにはありません。
そのため「通話かけ放題」を利用したい場合はキャリアのままである方がお得であるため、格安SIMに乗り替えはしない方がよい場合が多くなります。ただし多少品質を落としても電話料金を抑えたいという希望がある場合、格安SIMでも通話はLINEなどメッセンジャーアプリの無料通話アプリで代替できる面もあります。
LINEの通話はたまに話す程度の人に向いている
スマホ同士の会話であれば、メッセンジャーアプリを入れて音声通話機能を使うことで、実質的に無料通話をすることができるようになります。ダントツで有名なLINEや楽天のViber、FacebookのWhatsApp Messengerなどがあります。日本ではシェアが一番のLINEを使うのが通常でLINEに絞ってみていきます。
まずはLINEで無料通話機能を使うためには、自分がスマホを使うことはもちろん、相手もスマホでLINEを使っていなければ利用できません。LINEアプリ同士で利用できる機能であるため、よく電話をかける相手がガラケーだったりLINEを使いたくないという方の場合は、あきらめるしかありません。
料金はLINEで無料通話をする仕組みはインターネット回線経由で通信するため、インターネット料金以外はかからないということです。LINEの無料通話機能を利用して音声通話する場合に消費するデータ量は1分で1MB以下程度の消費で少ないため気になりませんし、自宅などでWiFiにつないでいればそれも実質無料となります。
LINEでの通話品質については、通常の音声通話回線の通話よりも確実に落ちます。利用するタイミングや通信環境によって大きく違い、非常に不安定です。音声品質が著しく悪い場合もあれば携帯の音声通話並にクリアに会話できることもあります。ひどい時は音声が1〜2秒くらい遅れて行き来する状態になり、最近はユーザーが増えてきていることも関係しているのか、よくあることで通話品質は安定せず悪いと言えます。
ただしやはり格安SIMにすることによって圧倒的に携帯料金は安くなるため、LINEの無料通話で問題ないと感じるのであれば大きなメリットがあります。キャリアの通話かけ放題プランは高額ですが、品質を落としてもよいのであれば格安SIMに乗り替えてLINEによる通話をオススメします。
結論としてはよく通話をする人はキャリアにした方が無難
通話が多い人は、キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)の通話かけ放題プランにした方が音声品質も含めて考えると無難で、キャリアを選択すべきです。LINEの無料通話などは調子が悪いとかなりストレスとなるため、通話を多くするのであれば品質も含めてキャリアの方が絶対にいいと思います。
逆に通話をあまりしない人は格安SIMにした方がいいでしょう。料金が圧倒的に違うので、格安SIMにした方が断然お得です。また格安SIMでも、音声通話回線を利用する通常の通話はドコモと全く変わらないため、少しの通話しか利用しないのであればこの点からも格安SIMの方がよいと言えます。
音声通話をどれくらいするのかによって、格安SIMに乗り換えをするか判断してみてはいかがでしょうか。