格安SIMとキャリアの違いは?! キャリアメール・2年縛りはどうなるのか?

格安SIMは安すぎて心配?! キャリアと格安SIMの違い

格安スマホ(格安SIMをスマホに挿して安く使うスマホ)は料金が安すぎるので本当に大丈夫なのか?と疑問に思う人も多いようです。もともとキャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)が提供する料金が高すぎるということもありますが、格安SIMでは安い分、サポートや機能の一部がキャリアよりも劣るのは事実です。

回線の部分では、電波や音声通話品質などはキャリアの設備をそのまま利用することになるため、基本的な機能の部分で大きく違うことはありません。格安SIM毎に大きく違う部分としてはインターネット接続の部分で、ここの設備・キャリアとの回線契約によって、ネット速度が遅い・速いの違い等が出てきます。ネット速度はキャリアと同等の速度が出る格安SIMから、低品質の格安SIMまで様々です。

ここではネット回線速度は格安SIM毎に違うため検討材料からは一旦除外し、一般的な格安SIMとキャリアの違いについてみていきます。料金が安い分、どのくらいキャリアとの差があるのかを見極めましょう。

キャリアメールが利用できなくなる

キャリアは各社とも契約するとキャリア独自のメールアドレスが利用できます。以下のようなメールアドレスがキャリアメールです。

  • ドコモ: ●●●@docomo.ne.jp
  • au:●●●@au.ne.jp
  • ソフトバンク:●●●@softbank.ne.jp、●●●@i.softbank.jp

ドコモからソフトバンクへなど、キャリア間で契約を移動したことがある方も多いと思いますが、その時にキャリアが変わるとキャリアメールも使えなってしまいますよね。これと同じでキャリアの契約を解約して格安SIMへ契約を替えると、キャリアメールが使えなくなります。

MNP(ナンバーポータビリティ)で契約を格安SIMへ替える時ももちろん同じで、MNPで変更した場合は、電話番号は変わりませんが、キャリアのメールアドレスは使えなくなります。

最近では格安SIMへの乗り換えをする人も多くなってきていますが、格安SIMに変更した時に新たなメールアドレスとして利用されることが一番多いのは、”Gmail”のようです。GmailはGoogleが提供する無料で使えるメールアドレスであり、”●●●@gmail.com”というメールアドレスになります。

私もGmailをメインに使っていますがパソコンでもスマホでも一番使いやすいのでおすすめです。Gmailの優れているところはセキュリティが非常に高く、簡単には乗っ取られることがない仕組み(2段階認証など)を用意しているところです。また使い勝手は他のどのメールよりも使いやすいのではないでしょうか。

また楽天モバイル(@rakuten.jp)やぷららモバイルLTE(@●●●.plala.or.jp)など、いくつかの格安SIMではメールアドレスを提供してくれるので、それらを利用するのはひとつの手です。ただし今後さらに契約の乗り換えが発生するかもしれないことを考えると、Gmailでアカウントをとって利用した方がよいでしょう。

Gmail以外にはYahoo!メールなどがあります。昨今はメールに代わってスマホアプリのLINEでメッセージのやりとりをすることが主流になってきています。10代、20代だとLINEでの連絡が当たり前でメールは使わなくなってきており、同世代間の連絡でメールを利用している人はかなり少ないのではないでしょうか。

格安SIMには音声通話SIMとデータ通信専用SIMの2種類がある

提供する格安SIMの会社によりますが、基本的には、従来の3G通信、高速通信のLTE通信の両方がキャリアと同じように利用できます。意図的に回線や速度を絞って安く提供している格安SIMもあるのでこの部分は契約時に確認が必要です。

また利用できるSIMには、キャリアと同じように通話・ネットの両方ができる「音声通話SIM」と、ネットしか利用ができない「データ通信専用SIM」の2種類があります。

音声通話SIM(音声通話+インターネット通信+SMS)

音声通話SIMはキャリアで利用するものと同じで通話もインターネットも利用ができます。音声通話SIMでないと通話ができなくなるので、通常はこちらを選択します。音声通話SIMであれば、ドコモ・au・ソフトバンクのキャリアからMNP(ナンバーポータビリティ)によって携帯番号は同じまま、格安SIMへ乗り換えすることが可能です。音声通話SIMではSMSも、もちろん利用できます。

格安SIMの音声通話は、だいたいの場合、20円/30秒の料金が普通です。キャリアで使い放題(定額のかけ放題プランなど)を利用していた場合に、通話を多くする人は格安SIMにすることで通話料金が高くなる可能性もあるため注意が必要です。

しかし元々、通話をしない人であればキャリアの通話プランは損です。キャリアでもかけ放題プランでなければ20円/30秒が標準的であるため、それ以外の部分で格安SIMの方が圧倒的に安くなる可能性が高いです。

さらに最近は楽天モバイルが5分以内の通話が月額850円でかけ放題になるプランや、FREETEL(フリーテル)が1分間かけ放題(月額399円)、5分間かけ放題(月額840円)など、通話が一定時間内であればかけ放題になるプランが登場しています。キャリアで言う「かけ放題ライト」と同等のプランです。格安SIMはもともとの料金が圧倒的にキャリアよりも安いため、これらのプランを上手く使えば大幅に携帯代を安くできます。

データ通信専用SIM(インターネット通信のみ+α)

データ通信専用SIMはスマホに挿せば、インターネット通信ができ、通話はできません。通話は利用できませんが、IP電話アプリなどを使えばネット経由で通話することは可能です。最近はデータ通信専用SIMでIP電話を利用しメインスマホとして利用するケースも増えてきているようです。

またモバイルルーターなどに挿して利用することも利用方法の主たる1つになります。Wimaxやワイモバイル(旧イーモバイル)のルータ利用と同じような使い方のイメージです。

データ通信専用SIMは、SMS付きと、SMSなしの2種類にさらに分類されます。SMS(ショートメッセージサービス)は、送れる文字数が少ないなど制限はありますが電話番号のみでメッセージのやりとりができるサービスです。SIMを指している端末へメッセージを送れるため、例えばLINEの初期設定では電話番号認証(本人確認の手段)としてSMSが利用されています。

格安SIMの契約期間はどのくらい? キャリアの悪しき習慣、2年縛りは存在するのか?!

ごく一部の格安SIMを除き、格安SIMでは2年縛りは存在しません。提供するMVNO(格安SIMの会社)毎によってこのあたりは違い、各社独自のプランを展開する中で、契約期間の縛りも様々です。

音声通話SIMでは最低利用期間(期間内解約で違約金あり)があることが多い

音声通話SIMの契約では以下の2つのパターンが多くみられます。

  • 最低利用期間が6ヶ月 〜 12ヶ月くらいの縛りがあり自動更新はないパターン(最低利用期間中に解約する場合は1万円前後の違約金発生)
  • 最低利用期間はなし。ただしMNPで転出する場合は利用期間により高めに設定されるパターン(契約直後だと1〜3万円でそこから1ヶ月毎に安くなっていくなど)

音声通話SIMでは多くの場合、数ヶ月間は最低でも利用してくださいということで最低利用期間が設けられることが多いです。ほとんどの場合、自動更新ではありません。また音声通話SIMの契約でも最低利用期間自体がない格安SIM(FREETELなど)もあります。ただし契約後にすぐMNP(ナンバーポータビリティ)を使い、同じ電話番号で転出する場合は高めの料金(1〜3万円程度)を設定しています。

乗り換え後によほどのことが無い限りは1年程度はほとんどの場合は使うでしょうから、普通の使い方をする人であれば問題になることはないと思われます。キャリアの2年縛り(自動更新)から開放されることは格安SIMの大きなメリットと言えます。

データ通信専用SIMでは最低利用期間と違約金はない

データ通信専用SIMでは最低利用期間はほとんどの格安SIMでありません。ただし最低1ヶ月は利用を求められ、契約から1ヶ月以内の解約では1ヶ月分の料金を取られることが多いですが、これは当然です。

2台目の携帯として利用するなど、とりあえずの試しで使う場合は、データ通信専用SIMを挿しての利用であれば最低利用期間を気にすること無く、気楽に使うことができます。

キャリアの2年間の自動更新契約(通称:2年縛り)は悪質な商習慣

キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)が端末代金を負担する代わりに最初の2年間縛りを入れるのはわかりますが、それが2年毎の自動更新になっているのはかなり悪質だと私は思っています。2年間の利用後はいつでも違約金なしで解約できるべきです。昨今、総務省はゼロ円端末販売の取り締まりをしていますが、通信料金やこの2年縛りの方が問題であり、ここに指導を入れるべきです。この2年縛りを長らく放置している総務省は怠慢と言えるでしょう。

ほぼ有りませんが一部の格安SIMでは2年間の自動更新契約のプランがあるため、そういう格安SIMは無視して絶対に契約しないようにしましょう。端末代を負担する代わりに縛りの最低利用期間がある契約は仕方ありませんが、それが自動更新になっているプランは絶対に契約しないようするべきです。

おサイフケータイ機能が格安SIMでは基本的に利用できない

格安SIMでは、キャリアが提供するおサイフケータイ(iD、auウォレット、ソフトバンクまとめて支払いなど)としての機能は利用できません。

おサイフケータイ機能は利用できないが、キャリア以外が提供しているサービスは利用できることが多い

ドコモ製のスマホなどをそのまま格安SIMを挿して格安スマホとして使っている場合や、SIMロックフリースマホでFelica機能がついている「Xperia J1 Compact」などであれば、モバイルSuica、楽天Edy、WAON、nanacoなどキャリア以外のサービスは利用ができることが多いです

Felica(非接触型ICカードの技術)の機能があればキャリアサービス以外は利用できますが、海外製のSIMフリースマホではFelica自体を実装していることが少ないため、実質使えないことが多いと言えそうです。

家族間の無料通話やファミリー割引は基本的にない

家族間の無料通話はキャリアでは最近は当たり前ですが、格安SIMにすると家族間の無料通話プランはないため、利用できなくなります。ただしスマホ同士であれば、LINEなどのメッセンジャーアプリの無料通話機能を使って通話をすることで代替できるので、特に問題ないのではないでしょうか。

しかし格安SIMではもともとの料金設定が安いことから、ファミリー割引や家族間の通話が無料になるようなサービスはありません。一部、IIJmioなどはファミリーシェアプランとしてSIMカード10枚まで発行できるサービスを展開しています。ファミリー用プランの提供しているところは現在は少ないですが、多くの格安SIMが登場してきていることから今後、充実してくる可能性はあります。

店頭(ショップ)での対面サポートが受けられなくなる

キャリアであれば、ドコモショップ・auショップ・ソフトバンクショップで直接わからないことを質問したり、修理なども全国に展開されているショップにいけば対応をしてもらえます。

格安SIMでは基本的に店頭での対応自体がなく、基本的には電話とメールでのサポートのみとなります。家電量販店での取り扱いがある格安SIMは店頭で対応をしているのですが、多くの場合は購入前の説明や販売であり、購入後のサポートはやはり格安SIMの提供会社へ電話・メールで問い合わせることになります。

このあたりのサポートはキャリアとの大きな差があり、不慣れな人ほど問題が起きた時の対処に時間がかかってしまうかもしれません。格安SIMによってサポートの良し悪しもかなり違います。

しかし格安SIMはこの部分を考慮しても、圧倒的な料金の安さというメリットがあります。

格安SIMとキャリアの違いはキャリアメール・おサイフケータイ・無料通話・ショップサポートが大きい部分

総合的に見るとキャリアよりも劣る部分があるものの、基本的な部分では格安SIMの選択次第となり、料金が大幅に安くなることを考えると計り知れないメリットがあることも事実です。

料金の違いとサービスの違いのバランスを考えて、キャリアをそのまま使うのか、格安SIMに乗り換えるのかを検討すればよいと私は考えます。